原子構造・原子核・放射線編

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蛍光と燐光

蛍光剤を使った洗剤や塗料がより明るく見えるのは、日光中の高いエネルギーを吸収して、低いエネルギーの可視光を放出しているためと言うことを認識する
暗室で行う。
(1)蛍光・燐光物質試料に紫外線ランプの光をあてて見る。
 蛍光物質:紫外線をあてているときだけ光る
 燐光物質:紫外線をあてるのをやめた後も少し光っている (2)身近にある他より明るく見える物(蛍光塗料使用)に紫外線ランプをあてて見る。
例:ワイシャツ、蛍光ペンで書いた文字とマジックで書いた文字
使用器具:紫外線ランプ 蛍光・燐光物質試料 白いワイシャツ(洗剤)照明器具のひもの先のつまみ 蛍光灯を割った物の内側 蛍光ペン、普通のマジック

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光電効果

金属に波長の短い(エネルギーの高い)光を当てると、電子が飛び出すという現象を、箔検電器の箔の開き具合の変化から確かめる
(1)亜鉛板をのせた検電器を、帯電体を使って(-)(負)に帯電させる。
(2)白熱電球を亜鉛板に近づける。変化無し。
(3)紫外線ランプを亜鉛板に近づける。箔が閉じていく。
(4)ガラス板を間にはさむと箔は閉じない。紫外線カット。
(5)箔検電器を(+)(正)に帯電させておいて、(3)と同じ実験をする。箔変化しない。
留意点等:紫外線ランプを直接見ない。亜鉛板はよく磨いておく。
使用器具:紫外線ランプ 箔検電器 白熱電球(蛍光灯)亜鉛板 ガラス板 帯電棒

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ナトリウムの発光・吸収スペクトル Naの炎色反応とNa光源を用いてNaの線スペクトルを観察する。また、両者を用いてNaの吸光現象を確かめる
(1)分光器で炎色反応の光を見る。分光器でNa光源の光を見る。
(2)Na光源の前でNaの炎色反応を行い、図のx、y方向から観察する。
x:炎が黒く(暗く)見える。吸収スペクトルの原理。
y:黄色い炎。Naの線スペクトル。
使用器具:ナトリウム光源 食塩(NaCl)白金線 ガスバーナー 直視分光器(または自作分光器)
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炎色反応 線スペクトルを観察し、原子構造を考える導入にする
(1)図のようにする。蛍光灯、太陽光(外の光)を直視分光器で観察し、比較する。
留意点等:この方法だと炎色反応が持続するので、分光器での観察がしやすい。
使用器具:ガスバーナー ビーカー 針金 でんぷんのり Na塩、Li塩、など
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さまざまなランプと線スペクトル 市販されているランプで、できるだけ多くの種類の線スペクトルを観察する。
(1)実験室内に図のランプをセットしておき、直視分光器で観察させる。
(2)水銀灯は安定器がなかったため、電子レンジ内で点灯させた。
使用器具:Naランプ ネオンランプ 蛍光灯 電子レンジ
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原子と磁性 強磁性体も原子の向きがばらばらになれば、全体として磁性を失うことを観察する。また、原子が磁性を持っていることを理解する。
(1)永久磁石(フェライト)を粉々にしたものをよく混ぜ、試験管に入れ、クリップが付かないことを示す。大型のリング磁石で粉末の向きをそろえると、クリップがくっつく。
(2)ニッケルが高温になると磁性を失うことを示す。
留意点等:(1)リング磁石が非力だと、現象が鮮やかに見えないことがある。(2)磁石はスタンドに固定しておく。
使用器具:試験管 スタンド ガスバーナー フェライト磁石(粉末用、大型リング、U型)ニッケル板 500円 ゼムクリップ 少々
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身の回りの放射線 身近なところにある放射線源をGM管を用いて知り、その透過力などを調べる。
(1)目覚まし時計の夜光塗料や、煙探知機の本体の部分にGM管を近づけ、放射線を探知する。宇宙放射線も測る。
 間に紙、ガラス、金属などをはさみ、透過力を調べる。
(補足:北村)目覚まし時計は最近は放射線物質を使っていない物が多いです。煙探知機には放射線源を使ってない物もあります。また、煙探知器は線源としてはかなり強いAm(アメリシウム)を使っています。分解しなければ問題はありませんが、分解した場合は放射線被爆や放射線汚染の恐れがあります。生徒のみなさんは決して分解しないこと。
留意点等:α線源でも同時にγ線(ガンマ線)を出しており、紙を透過してくることがある。
使用器具:GMカウンター 目覚まし時計 煙探知機
8
空気GM管 α、β、γ線に対応するGM管を自作し、放射線の様々な性質を学習する
製作法)直径0.15mm程度の銅線を半分に折って陽極とする。紙を円筒状に丸めてフィルムケースの中に入れ、陰極とする。フィルムケース内にブタンガス(100円ライターのガス)を入れ、サランラップでふたをし、輪ゴムで止める。陽極-陰極間に約3000Vをかける。(静電気を使って帯電させる方法もあり) 
測定は、AMラジオで放射線入射による放電ノイズを聞く。α線、β線はサランラップ側から入射するとよく検知できる。
(1)α、β、γ線の線源を近づけ、放射線を音で検知する。
(2)紙や木、金属板などを間に入れて、透過力を調べる。
(3)モナズ石から出るトロンガスを入れ、半減期を調べる。(半減期は56秒)
使用器具:線源 AMラジオ 高圧電源(簡易放電箱で使用するもの)フィルムケース 銅線(電源用ビニール被覆線の中身)紙(薄い紙)サランラップ 100円ライター
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簡易放電箱 身近な材料で放電箱を作り、α線の電離作用や透過力を調べる。
(製作方)アクリル板で#上のワクを作る。この上に直径0.1mmの金属ワイヤー(銅線、タングステン線など)をアロンアルファなのでピンと張る。それを、陰極となる金属板の上にのせる。ワイヤーと金属板の間に数千ボルトの電圧をかける。α線源を近づくと、放電が始まる。(暗室で小さい火花が見える)
  (1)陰極-陽極間に高電圧をかけ、α線源を近づける。
  (2)放電により、放射線に電離作用があることを理解する。
  (3)線源と放電箱の間に紙を挿入すると、放電がやむことを確かめる。
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原子核崩壊 サイコロを使ったモデル実験で、半減期の意味を理解する
(製作法)コルクを1cm角に切り一面だけマジックで印を付けサイコロとする。同じ物を200個用意する。
  (1)200個のサイコロを袋の中でかき混ぜて、箱にぶちまける。
  (2)印の出たものだけ数えて、取り除く。
  (3)残りが1~2個になるまで繰り返す。
  (4)残りの個数の変化をグラフにする。
  (5)グラフの任意の場所で半減期を求める。
留意点等:サイコロの形がある程度いい加減でも、意外ときれいな指数曲線になる。
製作材料:コルク(10cmの板をカッターで切る)20cm四方の物では2セットできる。ビニール袋 段ボール箱

 

その他

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ストロボをあてて現象を見よう

そのままでは速くて見られない現象を、ストロボをあてて調べてみる

(1)音さや定常波の振動数に点滅周期を合わせていくと、振動の様子がゆっくりと見られる。
(2)扇風機などは止まって見えたり逆回転して見える。

使用器具:ストロボ、音さ、扇風機、糸

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風船の串刺し

風船を破裂させずに串刺しにする
(1)竹串を食用油に浸し、ぬりつける。
(2)竹串を風船の薄いところにねじ込むように差し込む。
(3)プスッと音がして、風船に突き刺さる。

使用器具:風船、竹串、食用油

3
聴診器で音の方向を調べてみよう 左の耳と右の耳に音が届く時間の差によって、音の方向を関知していることを調べる。
(1)先にBのホースを耳に当てて、次にAのホースを耳にあてると、Aの方から音が聞こえる。
留意点等:ビニールチューブはエアポンプから水槽へ空気を送るときに使うチューブ。

使用器具:ラジオ イアフォン 二股 長さの異なるビニールチューブ 2本

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不思議なひも

(1)どのひもがつながっているかを問い、生徒に渡す。

留意点等:図のように組み、ひもはまずワッシャに仮止めする。いくつか引っ張ってみて長さを調節し、しっかりしばる。最後に筒の両端をふさぐ。
製作材料:紙筒 ひも ワッシャ

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