Web Hits

 

 

(旅行記)とんぺいくさまくら 30

 

Taiwan Yushan,    October, 2007

東アジア最高峰 玉山(台湾・新高山 3952 m)    森谷 東平  Tohei Moritani

 

ニイタカヤマに登る?

 

 

最近の登山行、
  ・2006年夏:「富士山3776m」ー 日本の最高峰
  ・2007年春の「キナバル山4095m」ー 東南アジアの最高峰、
に続いて、今回(2007年秋)は東アジアの最高峰、台湾の玉山(3952m)をめざすことになった。台湾人の友人に聞くと、登ったことはないが美しい環境に囲まれた有名な山であるという。

今回の計画まで、玉山の名は知らなかったけれど、「ニイタカヤマ」なら聞いたことがある。台湾が日本の領土になったときに富士山より高いということで明治天皇が命名したそうだが・・・そして、「ニイタカヤマノボレ」は対米開戦の暗号とされたということだ。
今回は、山仲間の武田君、小嶋君と森谷の3人そろって久しぶりの登山行である。

主峰近くの夜行登山、山頂でのご来光、岩山の下山、など迫力ある映像をお楽しみください。
 .......................................................................................................................................

yushan map

登山許可の取得など

「玉山」あるいは英語表記の"Yushan"でインターネットを検索した。登山には、台湾当局の「登山許可」の取得が必要でしかも一日の入山者数が制限されていて、登山の一ヶ月前に抽選があるという。

日本の旅行社に問い合わせると、次の回答であった。
1.最少催行人員、12~15名、に満たないと旅行社のツアーは実施されない。
2.催行人員が充分であっても抽選に漏れた人は登山に参加できない。
そして、金・土曜出発は一般に参加者が多いがその分抽選漏れの可能性があり、それ以外の日は参加者が少なすぎて 最小最少催行人員に満たない可能性がある。この場合足りない人数分の超過料金を払えば登山を実施する。

これは厳しい!台湾の旅行社でもっと条件の良いところを探し始める。しかし連絡がとれても内容がはっきりしない。
ただひとつ良いところが見つかった。私の友人の台湾人(NY在住)に調べてもらったもので、英語のできるガイドをつけて平日出発3人の許可証をとってくれるというBEST TRAVELという台湾の旅行社と連絡をとり、ここに望みを託す。

9月4日、「抽選OK!」のメールが届いた。さあ、登山の準備だ!

 

 

 


標高は?

玉山の標高が、手元の地図や本で大きく違う。
帝国書院「最新基本地図」(1996)  -- 3992 m
MYNAH "Geographica"(2002) --- 3997 m
平凡社 「エリアアトラス」(1994) --- 3997 m
「地球の歩き方・台湾」(2006) --- 3952 m

多くのウェブサイトでは3952mを採用しているので私もこれを採用した。
日米の書籍でどうしてこのように異なった標高が採用されたのだろうか?gyokusan

台北の夜は「鍾馗さま」(9月30日)

日本アジア航空で成田を10時に発つ。鹿児島上空で桜島の姿を見る( 右上写真)。台北桃園空港に12:30着。空港から台北市内へのバスにおよそ1時間揺られて台北駅北方で民権東路と中山北路の交差点に近い「ホテルサンルート」に落ち着く。街の雰囲気は、中国語の文字を除けば日本の都会にいるようである(上写真)。
夕方に到着した友人の武田君とまずは夕ご飯に。近くのレストラン、「欣葉」で台湾料理を味わう。小振りの牡蠣を使った料理が良かった。
古い台北を求めて、タクシーで「龍山寺」へ。予想していなかったが、多くの人混みがありどうもお祭りらしい。背の高い「鍾馗さま?」の行列が珍しい(写真)。
通りすがった別の寺の石柱に「尾崎愕堂」の文字を見つけ、日本との歴史を想う。賑わいを見せる屋台街を楽しんだあとホテルへ帰った

sakurajima taopei

Shoki

思いがけない「大旅行」と 金鉱山 (10月1日)

1)汽車を間違え・・・
夕方までの空き時間を利用して、台北の東部にある「金瓜石」(きんかせき、ジングアーシー)を訪問することにした。金瓜石は以前は東洋一を誇った金鉱で、製錬技術者であった父が母とともにここに住んでいたと聞いていたのである。私が生まれる前のことであるが当時の面影をしのびたく思ったのである。
7時にホテルを発ち、タクシーで台北駅へ。駅の正面に「・・台湾加入連合国」つまり「台湾名で国連に加入を」のスローガンを見る(右上写真)。
金瓜石に近い「瑞芳」まで切符を購入しホームと列車を確認して乗り込んだはずだったが・・・発車が予定より5分ほど早かったのでアレッとは思ったものの充分確認したと朝ご飯を食べていると・・通りかかった掃除のおばさん?が席に置いておいた私の切符を見てなにやらあわただしい表情。英語のできそうな台湾人をつかまえて聞くと、なんとこの列車は特別列車で、次の停車駅、「新城」まで2時間半ノンストップだという。さすがに驚いて、最後尾の車掌室に行き、列車を止めて降ろしてくれと頼むが、かわいい車掌さん(右写真)はにこにこして駄目だという。英語が少しだけわかる彼に帰りの列車の時刻などを尋ねて、この思いがけない「大旅行」を楽しむことにした(地図)。


2)清水断崖
10時に新城駅に着く。この新城の西には太魯閣という有名な渓谷があるという。時計をにらめっこして、そこに行くのはあきらめ、代わって「清水断崖」にタクシーで行くことにする。紺碧の海を右に見ながら北上するとトンネルが続き展望台に着く。ここは、清水山(2407m)の頂から水平距離わずか4kmで海に切れ落ちる急勾配の断崖である(右写真)。
さらに北上して、「和平」駅でタクシーを降り汽車に乗った。


3)金瓜石
昼過ぎに瑞芳駅に着く。駅前のタクシーのたまり場で、金瓜石観光と台北まで日本円で支払うという交渉に入る。ここにも日本語をある程度理解する人がいて交渉成立。ところが、日本語がわからない運転手が出発後なにやら混乱して駅に舞い戻り。行き先と料金について混乱していたとわかり料金を割り増しすることで機嫌を直してくれ再出発。
金瓜石鉱山は現在は閉山して博物館になっている。そのまわりには日本人の家屋が保存されている(右写真)。父母が住んでいた社宅の周辺が写っている数枚の写真を持参していたので運転手に見せると、まかせてくれというジェスチャーで山を降りていく。山の斜面には廃墟となった建造物が並んでいる。金の製錬関係の設備跡と思われた(右写真)。
持参した写真にある「凜?洞橋」も見つけた。この付近に父母の社宅があったと思われたがそれを探しだすことはできなかった。しかし、これらの建造物が大事に保存されているのを見て、若き日の父母の息づかいに触れることができた。
台北へは、高速道路を通り30分ほどで着いた。気の良い運転手に謝謝!


4)玉山登山の基地、奮起湖へ
午後4時、ガイドの劉冠伶さんと運転手の冷杉君がホテルにわれわれを迎えに来てくれる。ふたりとも26歳のヤングコンビである。
われわれ3人を乗せて高速道を南へ。台南付近から山道に入り午後9時ごろ奮起湖大飯店に到着した。ここは、風光で名高い阿里山の中にあり観光客が沢山宿泊していた。ただし、湖があるわけではないようだ。
明日からの登山を夢見ながらベッドに入った。

non

16タクシーの運転手17ガイド

11国連加盟のスローガン

12新城駅にて

13清水断崖

14金瓜石の旧日本住宅

15金製錬所跡

玉山登山 - 第1日  排雲山荘へ(10月2日)

奮起湖大飯店からおよそ2時間のドライブ。台湾の山の深さを味わううちに台湾主峰登山口に着いた(標高2610m)。ここから真東に登山道を行く。21 oct2

22

右遠方に玉山南峰(3900m、右写真)を望みながら登山路を行く。斜面の影から目指す玉山主峰(3952m)が見えてきた(右下写真)。
登山路は良く整備されていて、人なつこい小鳥などを楽しみながら歩く。およそ6時間の山行で排雲山荘(3402m)に到着した。天気は申し分ないが、夕方になるとさすがに冷えてくる。生姜湯のもてなしがありがたい。台湾料理の夕ご飯も良かった。山荘に泊まった5,60人の登山者はわれわれをのぞいて全部台湾人であった。
明日の天候を祈りつつ寝袋にくるまった。
******  ムービーで雄大な景色をご覧下さい。******movie-1
                         ムービー(10月2日)

MapClimb

玉山登山 - 第2日目 主峰登頂(10月3日)

 

深夜2:50に排雲山荘を発ち、ヘッドライトを頼りに急勾配の岩の路を登る。全天星空のもと、およそ1時間半で主峰山頂に立った。西側の暗い登山道から登ったので頂上で東の空に曙を背景にした山々の峰が急に現れたのに感動。防寒対策をして日の出を待つ。ご来光に喚声があがる(下写真)。そして今回も、「影富士」をくっきりと見ることができた(下写真)。今日は私の64歳の誕生日。登山者たちが寄せ書きをして祝ってくれたのに感激!(右)

sunrise Kage

Oct3 

Yosegaki
台湾の皆様からいただいた寄せ書き